内耳には平衡感覚をつかさどる三半規管・前庭があります。これらは大脳・脳幹とつながり、めまい時は無意識に眼球を動かします。これを眼振と言います。
前庭外来では、体を倒したり、頭を振ったり、スクリーン投影される視覚刺激を見たり、耳に冷たい水を入れたりして、わざと眼振を誘発して疾患を見つけます。眼球の動きを記録するための黒いゴーグルを顔に装着すると赤外線CCDカメラを通じて眼球がモニター映し出され、医師は眼球の動きからめまいの原因を考えます(Video Oculography)。
内耳性めまい疾患に関しては、メニエール病に対する生活改善指導や、良性発作性頭位めまい症への耳石置換療法を積極的に行っています。一方、一部の神経変性疾患や聴神経腫瘍では、神経内科や脳神経外科と連携しながら病状の進行具合をVideo Oculographyを用いて定期的に評価しています。
ただし、めまいの原因は耳疾患以外にも脳疾患・心疾患・更年期障害・ストレス・精神的なものまで非常に多岐に渡り、確定診断が困難なケースも数多く存在します。