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アレルギー外来

アレルギーについて

ヒトには外部からの異物を認識し除去する免疫系が備わっています。この反応が過剰に起こることをアレルギーと呼びます。アレルギー発症の機序にはまだまだ未知の部分が多く日々研究が進められていますが、遺伝的素因や抗原への過剰曝露、皮膚バリア破綻に伴う抗原の侵入などが発症に関わっていると言われています。

 

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎では抗原が鼻腔内に侵入し免疫系が刺激されることで鼻水・鼻詰まり・くしゃみ等の症状が引き起こされます。治療には内服薬や点鼻薬、手術療法、アレルゲン免疫療法などがあります。近年は重症のスギ花粉症に対して、生物学的製剤である抗IgE抗体(omalizumab)による治療が保険適用となっております。

薬物加療

内服薬や点鼻薬はアレルギー反応を抑えることで症状を緩和する方法で、アレルギー性鼻炎に対して最も広く行われています。

手術加療

下鼻甲介粘焼灼術はアレルギー性鼻炎の主な反応の場である下鼻甲介粘膜をアルゴンプラズマ・炭酸ガスレーザーなどを用いて凝固・焼灼する治療法です。外来で保険適応下に受けることが可能です。

他、鼻中隔弯曲症の矯正手術、下鼻甲介の一部を切除し減量する手術、支配神経である後鼻神経を切断する手術などがあります。

アレルゲン免疫療法(減感作療法)

抗原を反復して投与することで免疫寛容を誘導しアレルギー症状を緩和させる方法です。スギ、ダニの抗原エキスを舌下部に投与する舌下免疫療法が小児に対しても保険適用となりました。この方法は比較的簡便に行える反面、数年間毎日行う必要があります。

生物学的製剤による治療

アレルギーを引き起こす原因となっているIgEを抗IgE抗体で局所的にブロックし、免疫反応の過剰を抑えます。重症度により2週間もしくは4週間に1度、皮下注射をします。

当科での取り組み

  • 特異的IgE抗体検査を用いたアレルゲンの推定
  • アルゴンプラズマを用いた下鼻甲介粘焼灼術
  • 手術療法(下鼻甲介切除術、鼻中隔矯正術、後鼻神経切断術)
  • アレルゲン免疫療法(減感作療法)
  • IgE抗体(omalizumab)による治療

重症のアレルギー性鼻炎に対し、短期入院による手術加療は大変ご評価いただいています。

またアレルゲン免疫療法は治療半年から症状の改善の効果を実感していただいています。

 

好酸球性副鼻腔炎

2000年代に入り、成人発症、両側鼻茸、嗅覚障害、末梢血中好酸球の高値、気管支喘息の合併を主徴とする慢性副鼻腔炎がみつかり、好酸球性副鼻腔炎と提唱されました。2014年には診断基準が確立し、2015年には厚生労働省の指定難病として登録されています。

この好酸球性副鼻腔炎は、従来の慢性副鼻腔炎(蓄膿症)とは異なり、過剰な免疫応答による上気道の慢性炎症がその病態と言われています。下気道の慢性炎症である気管支喘息と一緒に、one airway one diseaseという気道炎症の概念が確立され、その病態は免疫病態を区別する2型炎症が関係していると考えられています。

治療にはステロイド剤による治療コントロール、手術療法、重症例では生物学的製剤である抗IL-4/13受容体抗体(Dupilumab)による治療を行います。

生物学的製剤による治療

2型炎症を引き起こす2型サイトカインであるIL-4、IL-13を抗IL-4/13受容体抗体で局所的にブロックし、免疫反応の過剰を抑えます。重症度により2週間もしくは4週間に1度、皮下注射をします。医療スタッフの指導にて自宅で自己注射することも可能です。

当科での取り組み

  • 手術による鼻茸切除、副鼻腔の単洞化
  • ステロイド剤による治療コントロール
  • 抗IL-4/13抗体(Dupilumab)による治療

上気道慢性炎症であるため、軽症例では嗅覚障害のみの症状であることも多いです。長年、嗅覚障害に悩んでいる患者さんは、好酸球性副鼻腔炎によるものかもしれません。

重症例への生物学的製剤による治療は、数多くの患者さんに治療が行われており、鼻閉、嗅覚障害を改善し、良好なコントロールをすることで大変満足していただいています。

 

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