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お知らせ

IFOS DUBAI ENT WORLD CONGRESS 2023 学会記 松山先生総括

松山です。

 

4年に1度のオリンピック、4年に1度のワールドカップ、そして4年に1度の世界耳鼻咽喉科学会;IFOS。2021年にバンクーバーで開催される予定が、COVID19の影響で延期され、2022年にも開催できず、急遽2023年1月に開催都市を変え、UAE、ドバイ、世界貿易センターで開催されました。

 

行ってきましたよ。IFOS。

多田、井田、御任と共に、世界へと乗り込みました。

学会の詳細な報告は3人の共同で作成される学会報告記を参照してもらい、私は今回のIFOSで感じたことを綴りたいと思います。

 

まず、IFOSは大きな学会でした。簡単に学会形式を説明すると、Otology、Rhinology、Laryngology、Head & Neck、Pediatrics、等々、12の大きなゾーンに分けられていて、そのゾーンの中でさらに細かい分野に会場が3つくらいに分かれています。Otology、Rhinology、Laryngologyなどはそのゾーンだけでも大規模でした。

一般口演演題は世界貿易センターの隣のホテル会場に10程度の部屋があり、そこで口演されていました。

 

今回は中東開催ということもある影響か、みなさんの想像できる白装束を着て頭に黒い輪を着けている男性、黒装束で顔以外を覆っている女性が会場に多くいて、今までの国際学会より、人種は多種多様でした。

私はほぼ鼻科のゾーンにいましたが、やはり話題はCRSwNPのType2炎症の話題やバイオ製剤の話題が多かったように感じました。学会の一番大きなスポンサーもバイオ医薬品大手で経済的にもバイオが一番動いていることを感じます。

私は鼻科ゾーンのセッション内のスピーカーとして口演させていただきましたが、世界の学会で確認できたことは、小さな群馬で我々が行っているリバーストランスレーショナルな研究は、世界の中でも先頭集団の走っている方向には向かっているのだなと確認ができました。ただ、頭の中にある知識や意見を、言語というツールでうまくアウトプットできないことは、やはり課題ですね。

 

企業ブースは、バイオ製剤、内視鏡やナビゲーション等の手術機器、人工内耳インプラントの企業は経済力もあるため、大きな面積を取り広告も豪華です。少し奥に行くと、インドの処置器具の会社が器具を路面店のように束で安売りしていて、多くの医師がそこで機器を直接購入していました。先進国ではtype2炎症が多くなっていますが、大きく世界でみれば、まだまだtype1、3の好中球炎症の細菌感染の患者が、圧倒的に多いのだと感じさせられます。最新機器による全身麻酔手術、バイオ製剤や人工内耳等の先端医療を受けられる人は世界的に見れば、一握りなのだと思います。またさらに違う区画には超富裕層向けの、一人に1時間以上はかけて検査するであろうVRを用いた前庭の検査機器もありました。国民皆保険の日本では考えられないでしょう。

 

ドバイ中心部の街並みは、絢爛豪華で街には富が集中していました。昨今の劇的な円安の影響はやや和らいでいましたが、それでも物価は恐ろしいほど高く、円の弱さを日本の外に出て、これでもかと肌で感じました。

ただ、遠く砂漠の国ドバイでは街中のタクシーはトヨタのカムリ、砂漠ではトヨタのランクルが列のように並んでいます。世界の人々がもっているスマホはアップルかサムスンですが、大都市ドバイの道では日本のトヨタが席巻しているのを見ると、まだまだ日本も大丈夫なのかもしれません。

 

私は一つのことだけ精通しているのではなく、リベラルアーツを持ち合わせていることを非常に重要と思っています。

外の世界を覗きに行くことは、新しい価値観を我々に与えてくれます。今回のドバイで医療知識はもちろん存分に与えてもらえましたが、それ以外に多くの物の見え方を与えてもらえました。

 

島の中にいたら、島の中の。さらにその島の池の中にいたら、池の中の世界、価値観、見え方しか感じられません。そしてそれが普通と感じています。普通と感じる概念すら持ち合わせていないでしょう。今あなたがもっている価値観、物の見方はどうですか?

自分だけの物差しで測るのではなく、多方面から物事をみれることが大事なことだと改めてドバイにて感じました。

 

『地球の周りを太陽が回っているのではなく、太陽の周りを地球が回っている。』

 地球人には微塵も思うことができない概念を、地球の外に視点を持っていたガリレオ・ガリレイに、ただただ感服する今日この頃です。

 

次のIFOSは2026年に開催されます。会場では次の開催都市の招致活動が5都市(横浜、スペイン、トルコ、香港、メルボルン)で行われていました。

そして、次の開催はトルコに決定しました。

 

2026年、私は行くかわかりませんが、多くの後輩医師が行ってみたい、行こうと感じてくれれば幸いです。

本出張を支援してくださった医局の皆様、同門会の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。

 

松山敏之

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