私坂倉は、東京の虎ノ門ヒルズフォーラムで行われた、第59回日本甲状腺学会学術集会に参加&ポスター発表して参りましたので、ご報告いたします。
甲状腺学会も、どの学会も一度は試してみたくなって、結局1回で懲りて止めてしまうePoster形式に。
しかも端末が6台くらいしか無く、誰も見やしないだろうと思っていたら、隣で僕のポスターを開いて議論している集団がいました。
後で思うと「演者ですけど」って割って入ればよかったけど、案外見てくれるんだなと思って満足。
「甲状腺乳頭癌と未分化癌細胞株における免疫系分子発現の相違」という、試験管内の基礎研究の演題を出しました。
しかし発表の段階では「学会あるある」の、全然関係ない群にぶち込まれてしまったパターン。
手術の群の中に基礎研究をただ一題入れられてしまって、「vivoではどうなんですか?」と座長に「あるある」な質問されただけでした。
でも他の演題を見ると、正直なところ甲状腺外科医の人達は我々耳鼻咽喉科医とかなり考え方と知識がずれている点も多く、黙っておれずに質問やコメントを立て続けに発してきました。
それと本県~群大の内分泌内科や臨床検査の先生に多くお会いして、「こんなところでお会いするとは…」と驚かれていました。
また入手困難な甲状腺乳頭癌細胞株を分与していただいた先生にもお会いしてご挨拶・御礼できて良かったです。
普通耳鼻科医は参加・発表しないし、入会さえしない学会ですが、私は前任の静岡の医療センターで、甲状腺腫瘍腫瘍の手術やマネジメントはもちろん、内科から原発性副甲状腺機能亢進で意識障害や胃潰瘍、腎不全に至った症例や、クリーゼや心不全になったバセドウ病や橋本病の重症例が送られてきたり、放射性ヨードの内服治療までさせられたりの、甲状腺・副甲状腺疾患の診療経験が結構あります。
もうこの学会に入会して長いこともあって、近々耳鼻咽喉科医初?の甲状腺専門医を取得しようと思っております。
学会後援の超音波ハンズオンセミナーにも参加してきて、珍しく写真撮影OKでした。
一応実際の患者さんが被験者になっていましたが、米国のセミナーのように癌の巨大+多発転移の患者や、巨大びまん性甲状腺腫で窒息寸前で酸素吸ってる人とか、そういうヘビーな人はおらず、ここでは小さいAGがパラパラとか、5mm位のFTとか、普段の臨床では華麗にスルーするレベルの人達でした。
セミナーの中では穿刺吸引細胞診のコースを選択しまたが、これまたアメリカとの違いに驚かされました。
アメリカでは穿刺ガイドと専用アタッチメントを使うのは、補助輪付けて自転車に乗る子供レベルの扱いで、露骨に軽蔑と嘲笑の対象にされていましたが、今回の日本のセミナーはエコーのメーカーと紐付いているためか、「危ないから必ずディスポのアタッチメントを使うように」という厳しいお達しが…(笑)
実際伊藤病院や開業の実力ある先生は使わないし、考えてみれば麻酔科の神経ブロックでも使わないし、コストに敏感な医療施設では使わないでしょう。
でもみかんの房入りゼリーを練習で使うのは、なかなかいいアイディアだと思いました。
みかんじゃなきゃダメで、他の果物だと内部がよく見えなかったり、針が刺さらないで逃げられたり(でもそういうぶどうみたいのは、石灰化が強く硬くて逃げる腫瘍の穿刺の練習になるかも)。
アメリカでは専用の(マウスパッドに付いているような)ジェルに埋め込まれたオリーブを練習に使いましたが、刺していくと針の経路が残ってしまうので、数回使用するともう新しいのに替えなきゃいけなくて、しかも高価そうなのが問題でした。
その点果実入りゼリーは針の痕跡が残らず長く使えるし、ビニール製の蓋の上から刺すのであまり汚れないし、それにとにかく安いので、オススメ。
早速イオンで大量に購入しようと思います(イオンの製品でした)。
本研究と発表は、当教室同門会や地方部会の先生方の浄財によるご支援をいただき、深く感謝しております。
また文部科学省/学術振興による競争的科学研究費だけなく、一部の企業からのグラントからも研究機器や試薬などの援助を受けております。
重ねて感謝いたします。