松山です。
マスコミは日本の医療を崩壊させる薬と言っていたオプジーボ®を、ノーベル医学生理学賞により、どんな癌も治す魔法の薬と、手のひらを返し報道しています。
これから少しのあいだ、癌外来は大変になりそうですね。
さて、夏期休暇のホノルルから帰国し、1日溜まっていた仕事をこなし、第57回日本鼻科学会、開催地旭川へと飛びました。
時差ボケの1歳の息子が夜中、眼パッチリなので睡眠不足でした。
医局からは初日に、私が『好酸球性副鼻腔炎に対するbenralizumabの効果』と題し、今話題の分子標的薬のECRSに対する効果を発表してきました。
他施設はmepolizmabの効果の発表ばかりの中、当科だけbenralizumabの効果を一足先に報告してきました。
恐らく、日本で最速ですかね(笑)
2日目の腫瘍シンポジウム、鼻副鼻腔悪性腫瘍の病態・診断・治療up to dateで近松教授が司会、高安先生がシンポジストとして参加しました。
高安先生は『鼻副鼻腔悪性黒色腫-重粒子線治療を中心に-』と題して当院での鼻副鼻腔悪性黒色腫の重粒子線治療成績や経過、また冒頭でも触れた分子標的薬の効果についてお話しくださいました。
鼻を専門とする聴衆者の中、腫瘍の話をされている高安先生はかっこよかったなーー!
私もあんな感じでプレゼンや講義したいと思わせる姿でした。
さて、今回の学会は他にもたくさん大忙しでした。
初日の夜は鼻科学会若手飲み会と題した親睦会に参加し、鼻領域を専門とする多くの先生たちと交流することができました。
総勢80名近く参加した大きな飲み会でした。
2日目は教授と高安先生と、居酒屋で食事。
3人で談笑しながら、北海道の魚をあてに酒を堪能。
大人数での食事や硬い会で食事することが多いので、たまにはこういう食事もいいですよね。
最終日の夜は、鼻科学会サッカー大会が開催されるはずでしたが、台風の影響で西日本の先生が帰れなくなるということで、中止に。
残念ですが、日本の鼻のスペシャリストが集合していますから、サッカーをしていて鼻の手術ができなかったなんて言ったら怒られてしまいますよね。
最終日は、慈恵医大、旭川医大、福井大学の仲の良い先生と食事しました。
また今回は臨床ハンズオンセミナー、アドバンスコースにも参加してきました。
モデルを使った内頚動脈(ICA)から止血トレーニングです。
4K内視鏡と4Kモニターを使い、ポンプ付き鼻内モデル内をドリリング。ICAを傷つけ、その際の出血対応をトレーニングしてきました。
1,2mm傷つけただけで、一気に内視鏡画面は血の海になり、何も見えなくなります。
一気に吸引し、拍動する血柱を見たときの気持ちは、言葉にできないですね。
モデルではありますが、汗びっしょりになりながら止血しました。
実際に起きないことを祈りますが、起きたら恐ろしいですよね。
ESSの画面がきれいになり、内視鏡も発達しました。
シェーバーやドリル等、便利な道具が増え、鼻手術はほぼ内視鏡のみで行い、鼻外切開することがなくなりました。
機材発達とともに、鼻内解剖も昔はそこそこと言っていた場所にもagger nasi cell(ANC)、suprabullar cell(SB)等、各解剖の名称がつけられるようになり、手術も眼窩内側、頭蓋的ラインまできれいにすることが求められています。
医学の発展に医師の技量が追い付かなくなると合併症が起こります。
医療事故のなかでも鼻手術の医療事故は多く、事故減少のための啓発が近年なされていますが、鼻の手術事故は減っていないようです。
私も、若手医師の安全な鼻手術を指導していますが、合併症を無くすにはまだまだ努力が必要と感じています。
群馬県内の、より安全で、より非侵襲的で、そして高度な鼻手術を目指していきたいです。
謎の平衡機能障害により、報告が遅れましたことをお詫びいたします。
今年もあと3ヶ月。
みんな元気出していきましょう!!
このたびは学会参加させていただき、ありがとうございました。