言語聴覚士の篠原です。
平成30年10月17日~19日に神戸国際会議場で行われた、第63回 日本聴覚医学会総会・学術講演会に参加しました。
人工内耳に関する演題を主に聞きましたが、他施設での術後のmapping(患者さんの状態に合わせた人工内耳の調整)・療育の様子を知ることができ、大変勉強になりました。
特に小児のmappingでは低年齢や補聴器の効果が乏しいお子さんが多く、聴性行動が安定しないため電荷量の設定が難しいケースもあります。
施設によっては、どの言語聴覚士が担当しても一定の質の調整が行えるよう、マニュアルを独自に作成しているとのことでした。
言語聴覚士個人の経験を基に調整をすることも大切ですが、「誰が担当しても大丈夫」という環境づくりも必要と感じました。
また、視覚聴覚二重障害児の療育に関する演題も印象的でした。
重複障害のお子さんは、日常生活場面での聴こえの様子と聴力検査結果が乖離することが多く、聴力の評価に難渋します。
他県での調査では、発達支援施設に在籍している約半数が聴覚障害の程度が不明とのことでした。
こうした重複障害のお子さんの場合、様々な障害を併せ持っている方も多く、聴覚に関するフォローが後回しにされてしまうことも想像できます。
しかし、聴こえを評価し、補聴することは、生活の質の向上につながります。
まずは、言語聴覚士が聴覚評価技術の向上を目指す必要があると感じました。
今回はこのような学会参加の機会をいただきありがとうございました。