近松です。
11月26日から30日までMiami Beachで開催された、AACR Special Conference on Tumor Immunology and Immunotherapyに、多田先生(+秀先生)と参加してきました。
毎年4月に参加しているアメリカ癌学会(AACR)の腫瘍免疫特別編といったところでしょうか。
毎年この時期に、このConferenceが開催されているのは知っていて、いつか行きたいと思っていたのですが、なかなか行動を起こすまでには至りませんでした。
そんな時、留学中の秀先生から「演題出すので、先生もどうですか?」と誘われましたが、さすがに演題なしでは行けないなぁと思っていたところ、多田先生の超人的な頑張りと多くの方々の協力のもと、なんとかデータが出て、演題が完成しました。
先ごろ、ノーベル医学・生理学賞を京都大学の本庶佑先生が受賞されましたが、もうひとりの受賞者で、別の免疫チェックポイント分子CTLA-4の働きを明らかにしたJames P. Allison先生の講演がありました。
学会中のスライドはお二人の腫瘍免疫への貢献に敬意を表して写真のスライドが流れていました。
ちなみに秀先生の受賞(秀先生のアメリカ留学記を参照ください)にも敬意を表して写真のスライドが流れていました。
Allison先生はノーベル賞受賞が決まる前にこのプログラムが決まっていたと思われ、受賞記念講演ではなく通常のInvited speakerの一人としての講演でしたが、それでも講演開始前に聴衆はスタンディングオベーションで拍手喝采でした。
この時ばかりは皆さんスライドではなくて、Allison先生の写真を撮りまくっていました(もちろん私もです)。
学会場のHotelはMiami Beachのリゾートホテルなので、サングラスに水着やTシャツ、ビーチサンダルのいでたちの人がたくさん行き来していましたが、まさかノーベル賞受賞者がこんなところにいるなんて誰も思ってもいなかったのではないでしょうか(笑)。
さて、学会は腫瘍免疫といっても基礎>臨床なので、臨床試験の結果などはなく、これからどんな方向に臨床腫瘍免疫が向かうのかといったところがメインとなります。
今回は、腸内細菌の免疫療法への利用や腫瘍微小環境の改善、そして自然免疫をいかに併用するかといったところの講演や研究発表が主でした。
ネズミの研究は、明確なデータが出ますが、実際のヒトではその通りにならないところが、難しいところであり、我々臨床家も研究に取り組めるところでもあります。
腫瘍免疫学の専門用語が飛び交う中、“へぇ~”と思った話題の一つに、免疫チェックポイント阻害剤の治療効果及び有害事象のバイオマーカーにthyroglobulinとthyroid peroxidase (TPO)に対する自己抗体がなるかもというものでした。
いろいろと複雑で高額な検査によって得られるバイオマーカー候補のなかで、着眼点に興味を持ちました。
学会を通じて、この分野の世界における趨勢とともに自身の知識の整理、研究へのseedsが得られました。
さて、今回多田先生は2回目の国際学会チャレンジでしたが、あれよあれよと終わった前回に比べてしっかり刺激を受けることができたようです。
Miamiまでは、乗り換えもあるし、教室からの他の参加者もいないので、教授と一緒というかなりストレスフルな旅だったと思いますが、彼女なりに世界観が拡がり、これからの仕事のモチベーションアップにつながると信じております。
次回は来年3月末のAACR Annual Meeting@Atlantaにも既に演題出していますので、オープンカーの後席だけでなく、大学院生としてもスーパーサイヤ人になってくれることを期待しています(多田先生の学会報告記を参照ください)。
毎回、同じようなことを書いておりますが、国内外問わず、学会参加は準備、発表を通して定量化はできませんが、多くのことを身につけられます。
加えて国際学会は、世界観が拡がること間違いありません。
多くの先生が食わず嫌いにならず、とにかく一度は経験してみると良いと思います。
最後に、いつも私を含め教室員の学会参加をサポートいただいている同門会及び地方部会の先生方に感謝申し上げます。
AACR Special Conference on Tumor Immunology and Immunotherapy:特別篇
悪夢ふたたび:A recurring nightmare
学会報告記は、いかにもスムーズな旅だった感が出ていますが・・・。
今回のフライトは、成田→ダラス→マイアミでした。
成田からダラス迄JAL、そしてダラスからマイアミはアメリカン航空という乗り継ぎでした。
成田でチェックインした際に、通常は最終目的地のマイアミまでのチケットが発券されますが、カウンターでエラーが出て発券できないので、ダラスで発券してもらってくださいとのこと・・・。
一抹の不安がよぎる。。
多田先生とターミナルで合流、すると多田先生はダラス‐マイアミ間のチケットを握りしめているではありませんか。
「普通に発券されましたけど・・・」と。
一抹の不安が、かなりの不安になる。。
搭乗口で、もう一度確認する。
同行者は発券できていることも伝える。
しかし「申し訳ございません、お客様のチケットはエラーが出てしまうのです」とのこと。
乗り継ぎの際に、セキュリティーでチケット見せられないのでは?と、ますます不安が増大。
係員は「e-ticket見せてください」とのこと。
ダラス空港初めてなんだが・・・。
飛行機乗るときは、更に不安が膨らむ。。
🛫 ✈ 🛬
ダラス到着、入国審査OK、荷物をピックアップして多田先生と一緒に荷物を再び預けた。
ちょうどそこにアメリカン航空の乗り継ぎカウンター発見、事情を言うと、あっさり発券、「Have a nice trip!」の声を背中に、チケット持って乗り継ぎ便のターミナルへ向かう。
不安は払拭され、晴れ晴れ。
飛行機はいざマイアミへ、機上から見えるビーチで、気分が高揚する。
定刻通りのマイアミ着。
Baggage claimで待つこと数分、多田先生のスーツケースが出てきた。
「あれっ!?先生のは?」
一抹の不安がよぎる。
それから待つこと10分ほどであろうか?
…
……
………やっぱり出てこない。
一抹の不安が、かなりの不安になる。
そして、ついに荷物を待つ乗客がみ~んないなくなった。
マジか!ロストバゲージだorz
係員に荷物が出てこないことを告げると「カスタマーサービスに行け」と言われる。
そこは既に3人ほど並んでいたが、遅々として進まない列と、またロストバゲージかという怒りがフツフツと・・・。
対応したのはクリスハートのような若者、何か食べながらの「May I help you?」
スーツケースはダラスにあるらしいと告げられ、指定の用紙にホテルのアドレスを記入して、バッグの色や形状を伝え、見つかったらホテルに連絡するからと、とくに謝罪もなく(アメリカだと当然でしょうか?)超事務的な対応。
しかも同情して涙目になってくれているのかと思えば、単に大あくびした後、ってところで
「あのねぇ、私、貴社を使ったの2回目なんだが、2回ともロストバゲージってどういうこと!」
って、言ったけど、訥弁な英語なんでどこまで伝わったのか・・・。
が、相手は俺のせいじゃないって顔している(それはごもっともですが・・・)。
多田先生曰く、あんな怒った教授、初めて見たと・・・(多田先生には伝わったみたいです)。
そりゃあ、怒りたくもなりまっせ。
ちなみに、書類にはMishandled baggageとかDelayed baggageとなっており、決して失くした(Lost baggage)ではないってことでしょうか?
昨年ワシントンに行った時もアメリカン航空でロストバゲージ、確率は0.29%だとのこと。
以来生涯で2回目のアメリカン航空、そして、またロストバゲージ、2回続けてロストバゲージにあう確率は・・・10万人に一人以下の確率か・・・。
もっと良いものが当たってくれよって話。
さて、どうするか?
ちょうど、次のダラス‐マイアミ便でやってくる秀先生を待つことになっていたので、そのまま次の便に荷物が載っていることに賭ける。
待つこと2時間、多田先生にずっと励まされ、それでもイライラ、不安、テンションだだ下がり⤵⤵⤵。
出てこなかったら、衣類など買いに行かなくては、っていうかスーツケースから購入か?
そうこうするうちに、秀先生到着、すぐに彼の荷物が出てきた。
早速事情を話すと、二人とも「学会報告記のネタができたじゃないですか」って、心配そうな顔をしつつ、眼が笑っている。
廻る荷物も徐々に減っていき、やはり、ダメか?とその時似たようなスーツケースが目の前を通り過ぎる。
もう一周したところで、誰もピックアップしておらず、よ~く見るとタグが貼り替えられた私のスーツケースだった。
ホテルでスーツケースを開けると原因がわかった。
米国運輸保安局(The U.S. Transportation Security Administration: TSA)の荷物チェックの用紙がパラリと出てきた。
荷物チェックしても良いけど、予定通りの飛行機に載せてよ!って話です。
結果的に、普通にアメリカ往路の話ですが、なんと精神的に疲れた1日だったことか。
私の、不安、焦り、イライラ、怒りにお付き合いいただいた多田先生、秀先生、本当にお疲れさまでした。
ちなみに今回の件で、ロストバゲージした時の対処法は、ほぼ修得できたと思う。