高橋です。
先日、舞浜で行われた第45回日本頭頸部癌学会に参加してまいりました。
舞浜といえばここですが、くたびれた背広を来た私のようなオッサンがうろつくには大変に心苦しいエリアでした笑
会場に行くためにディズニーリゾートラインに乗ったのですが、手を降ってくれるキャストの方々や、見るからにテンションMAXのカップルや家族連れの方々の、奇異なものを見るような視線を痛いほど感じました(実際は、キャストの方々は場違いな私達をも最高の笑顔で迎えてくれました)。
…と、なぜこんな夢の世界で頭頸部癌の学会が行われたのかという謎はさておき、学会は非常に有意義なものでした。
近年複雑化が進む再発転移癌に対する化学療法のレジメンの使い分けや、現在行われている臨床治験など、最新の知識を効率よく整理することが出来ました。
緊急事態宣言下での開催ということで参加者はほとんどいないのでは…と思っていましたが、意外にもまずまずの参加者数だったように思います。
私は、近松教授が座長をされたシンポジウム「頭頸部癌研究のニューパラダイム」にて講演させていただきました。
近年、急速に高度化・大規模化が進むがん基礎研究の分野でニュースタンダードになりつつあるシングルセル解析を軸に、様々な自験データをもとに概説させていただきました。
次世代シーケンサーの登場からの10年間に起こったパラダイムシフトは大変なもので、基礎研究の手法も大きく変遷しつつあります。
個人的な見解ですが、今後10年のうちに、患者さんの検体から取り出したマルチオミックスデータをAIアルゴリズムで統合し、癌の様々なパラメーターを定量化したのち、分子標的治療がよいのか、免疫治療がよいのか、手術がよいのか、といった治療選択を出来るようなシステムが登場するのではないかと思っています。
こうした観点から、私の少ない経験に基づくものではありましたが、一定の意義のある講演が出来たのではないかと思います。
このような貴重な機会を与えてくださった、会長の菅澤先生、座長の益田先生、近松先生に、この場を借りて御礼申し上げます。
また、今回の学会の最大のトピックスは、やはり光免疫療法であったように思います。
光免疫療法を特集した企業の共催セミナーでは、広い会場が埋まるほどの人が集まったうえに、CEOである楽天の三木谷氏も登壇し、大きな拍手をもって迎えられていました。
また、特別講演として光免疫療法の基礎研究開発を行ってこられた米国NCIの小林先生も登壇されました。
小林先生のご講演は内容、プレゼンともに素晴らしく、まさに本治療が持つ可能性を感じさせるものでした。
まだまだ新しい治療法で適応も限定されていますが、今後大きな発展の可能性を秘めていると感じました。
以上をもちまして、学会報告とさせて頂きます。
最後に、本出張を支援してくださった医会の皆様、同門会の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。
ありがとうございました。