咽喉頭がんなどの頭頸部がんに対して、手術用ロボットである通称「ダヴィンチ」による手術が保険適用になり、ついに当科においても、咽喉頭がんに対して、経口的ロボット支援手術(TORS: Transoral Robotic Surgery)の実施が始まりました。
従来、頭頸部がんのうち、咽喉頭の早期がんには、口から内視鏡を挿入して手術が行われてきました。内視鏡手術は通常の外切開手術と比較して、嚥下(飲み込み)や発声などの機能をできるだけ残しつつ、がんを切除してきました。
患者さんの口から鉗子やカメラを入れて、がんにアプローチするのは従来の内視鏡手術も、手術ロボットも同じですが、ロボットは手術器具がロボットアームに接続されており、術者の医師は離れた場所にある操作台から遠隔でそのアームを操作します。手術ロボットは人の手の機能的限界以上の動きができます。手や指の関節の可動域を超える動きができるほか、手ぶれを起こすこともありません。直線的な動きに限定されていた手と比べて、より自由度の高い3次元的な動きが可能です。これによって、咽頭喉頭の奥狭い部位で細かい作業を安全に行うことができます。
文責 松山敏之