松山です。
東京で開催されたISIAN (International Society of Inflammation and Allergy of the Nose) &IRS (International Rhinologic Society) 2024に参加してきました。
2019年のシカゴから、パンデミックや紛争などにより、ギリシャ、ロシア、ブルガリアには参加できず、ISIANは久しぶりの参加です。
桜満開の新宿は外国人が非常に多く、学会自体もシカゴの時より参加者が多かったです。
顔つきからか私はホテルスタッフに英語で話しかけられます。。ここ笑うとこ
私の発表は初日早々のオーラルセッションで当科でのdupilumabの臨床研究を発表してきました。バイオは世界的にHOTな話題であり、たくさん質問されました。稚拙な英語ではありますが、何とか応答してきました。一人、むちゃくちゃ発音の悪い人にまくしたてられたときは困りましたが。
最近は学会の運営側に回ることが多くなってきたので、今回はゆっくり聴衆することができました。論文などで名前を知っている世界的に有名な先生を生で聴講できることはやはり国際学会での良さですよね。外国ではCadaver Dissectionをホテル内で行ったりしていますが、やはり東京でCadaverをホテルに入れるのは難しく、中継で行っていました。
群馬の鼻科学を基礎臨床研究、Building block概念、EMMMやDraf手術、バイオ製剤の導入、パッキング製剤の導入、頭蓋底腫瘍手術など底上げをおこなってきました。
今の群馬の弱みはRhinoplasty(鼻形成)と嗅覚ですかね。
最近は鼻中隔前弯が強い症例は以前のキリアン切開をしないように手術していますが、県全体には行き届いていません。まだまだすべてのデビを同じように手術している現状かと思います。
あと、今の鼻科領域ではENS(Empty Nose Syndrome)が問題となっているようです。
昔のCL手術で副鼻腔粘膜を剝ぎ取ってしまった結果、10年20年後に生じるPOMC(術後性上顎洞嚢胞)は最近やっと見なくなってきました。
ESSが主流となり、下鼻甲介を根元から切断してしまうコンコトミーやズブコンと言われる粘膜下下鼻甲介骨切除をやりすぎ、鼻腔空間を大きくし過ぎて生じるENSが、手術から時間経過した今、多くなっているようです。
ENSは鼻本来の加湿機能や鼻腔抵抗感を失ってしまい、鼻腔が乾いたり、鼻閉感が生じます。
恥ずかしながら私も以前は鼻閉を良くしてあげようと下鼻甲介を根元から切断していたり、ズブコンで下鼻甲介骨を多く切除していた過去があります。
鼻の空間がしっかりあるのに、鼻がつまるという人に会ったことありませんか?
コンコトミーで下鼻甲介骨から切断すること、ズブコンで下鼻甲介骨を多く取ってしまうことは、鼻の加湿機能や、鼻腔抵抗をなくしてしまうことになります。ENSを医療者側が作ってしまわないように、機能温存を行うことが重要です。
2025年はブッタペスト(ハンガリー)、2026年はバンコク(タイ)で開催されます。
来年も参加できるように日々の診療、研究をまた頑張っていこうと思います。
多くの人が国際鼻科学会に一緒に参加してくれることを願っています。
本出張を支援してくださった医局の皆様、同門会の皆様にこの場を借りて御礼申し上げます。
松山敏之