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お知らせ

カンボジアでの耳鼻科医療支援その②

こんにちは

松山です。①に続きます。

経済的理由や医療環境の不足などで治療を受けられない医療後進国において、何かできることはないか、そんな思いから始まった耳鼻科医療支援ですが、医療視察でカンボジアの人は、なかなか病院に受診しないということがわかりました。さらに耳鼻科疾患は多くが治療されていない。

 

では、何ができるのか。

今回、一緒に医療支援活動を行った歯科医師に言われた言葉があります。

『できることから始めよう』

患者の病識がないのであれば、潜在的にどれくらいの患者がいるのか、まずは検診で把握してみようと思い、歯科チームが行っている歯科検診に同行させてもらい、幼稚園、小学校、中学校の子供たちの診察をしました。

カンボジアの子供たちの耳の中は衝撃です。

まず汚い。

日本では耳かきのやり過ぎで、外耳炎になる人が多く、最近ではあまり耳かきしないように、なんて言っていますよね?

カンボジアの子供たちの中には耳垢栓で耳が詰まっている子が何人もいました。

どんどん子供たちが診察に来るので、治療してあげたいなと思いながら、耳垢栓塞の子を診るだけになってしまったことが、本当に残念でした。

ちょうど列の空きが出来たときに一人耳垢栓の子がいたので、取ってあげました。その耳垢栓をここにアップさせたいですが、ネット上には衝撃すぎのためできません。本当に大きな耳栓の様です。現地にいる日本人歯科医は、サザエの貝から身が出てきたようだと例えていました。

絶対に耳が聞こえていなかったと思います。その子は明日からの授業がよく聞こえるようになり、日々の生活の質向上だけでなく、発達や心の自信にも良い影響がでてくると思います。

今回は耳の中だけで、鼻やのどは診ていません。さらに耳垢を取り除いた後の鼓膜もしっかり診ていません。聴力検査をすれば感音難聴の子も必ずいると思います。

今回のカンボジア学校耳鼻科検診では、非常に大きな発見がありました。

やはり、医療後進国で行えることは、まだまだ無数にある、そう感じた今回のカンボジアでした。

このHPを見て、一緒にやりたいという方、声かけてください。

医師ではなくても大丈夫です。医療従事者でなくても大丈夫です。やれることはたくさんあります。

『我々に何ができるのか』

国民皆保険である日本では、すべての人が簡単に医療機関を受診することができます。受けられる医療も高く、必要な場合には後方機関に速やかに受診することができます。先進国では現在、感染領域、腫瘍領域、免疫アレルギー領域などでは、遺伝子やタンパク発現から疾患を治療していく治療が最先端となっています。ノーベル医学賞などで有名になったオプジーボ®などの免疫チェックポイント阻害剤などは後進国において、本当にまだまだ先の話なんだと思います。

カンボジアの子は靴を履かず、はだしでいる子も多いです。はだしでそのままトイレに行きます。手を洗う習慣もありません。

我々が当たり前となっている、手洗いうがいなどの感染予防を行う公衆衛生の啓発活動も大事だなと感じました。

 

『最後に』

日本の医療は高度でいつでも病院を受診ができ、清潔で便利です。やっぱりカンボジアより日本の方がいいよねと言われると、実はそうだと即答はできません。

現代日本医療は、ハラスメントや訴訟など多くのリスクを抱えながら医療を行います。人とのコミュニケーションに慎重になるだけでなく、医療行為を行うにも同意書だらけです。医療側と患者側の関係が希薄になっているだけでなく、医療スタッフ間の関係も以前より関係が希薄になっていると感じるのは私だけではないと思います。

カンボジアは医療レベルが低く、不便なことも多いですが、カンボジアの人々は互いに助け合うことがまだまだ生活の一部となっており、笑顔や思いやりなど、人と人との間に温かみが溢れています。

物質的な豊かさはあるけれど、世知辛い日本より、人間の温かみに溢れている心豊かなカンボジアのほうがいいと思う面が多くあるのです。私たち日本人は、互いに支え合う感謝や親切、思いやりなどどいった人間の温かさの大切さをカンボジアの人々から学ぶことができます。

ぜひ多くの方が、支援活動に参加し、現地に赴いていただきたいなと思います。

 

松山敏之

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