Part II. いざ講習会へ
講習会は朝8時から開始です。
registrationを済ませ、朝食を取り、テーブルに座ってお隣に座っておられる先生(Earle A. Chiles Research InstituteのDr. Eric Tran)と自己紹介兼ねての挨拶をしたところ、先生の奥様が日本人と言われて、Wow !、先月夫婦で群馬の伊香保温泉に行かれたと聞いて、Wow !!、更に、奥様は私の後輩(山梨大学の石井先生)をよくご存知だと聞いて、Wow !!!と・・・。
オレゴンの山の中でこんなことあるのですね。妙な縁とこの世界の狭さを感じた次第です。
ちなみに、会場の日本人は奥様と私の二人でした。
オープニングで知ったのですが、2015年から毎年この時期に行われているようで、おそらく免疫チェックポイント阻害剤が頭頸部がんにも使えるようになった頃から始まったのでしょう。
会場も一つ、しかもround tableに座って、一般演題もなく、2日間ひたすらレクチャーを聞く構成です。
一つのレクチャーが20分であり、飽きることなく、寝ることなく(ちょっと寝ましたが)、ちょうど良い感じだと思っていましたが、二日目からは詰め込み過ぎでは!?って感じるくらいに、内容が濃かったです。
各レクチャーは非常に魅力的で、頭頸部癌を中心に腫瘍免疫に特化したお話が次々と繰り出されます。
基礎からトランスレーショナルが中心であり、既に使用されている薬剤でなく、これからどうなるか、どんな臨床試験があってて、どんなアイデアが進行中か、未発表のデータも結構盛り込まれており、最新知見をたくさん勉強させてもらいました。
特にチェックポイント阻害剤のNeoadjuvantでの使用(局所注射の話もありました)やワクチンや化学療法、放射線との併用、neo-antigen特異的T細胞、LAG-3、tertiary lymphoid structureなど気になるところもうまく拾うことができました。
内容はtoo hotですが、会場はtoo cold、15℃近い冷房の設定、そして外に出ると暖かくて気持ちが良いという、いつものアメリカの状態です。
会場内で冷えたCokeを飲んでいる方々の体感温度ってどうなんでしょうね?って思うのもdéjà vuかと思う程、いつものアメリカです。
ところで、ここOregon州のNewberg付近はワインで有名な地のようで、初日の講習会後はWine Receptionがあり、思い思いに好きなワインを楽しむ催しが企画されているのは、なんだかお洒落でした。
私も少しいただきましたが、Wine好きな方は一度訪れられてはいかがでしょうか?
今回の講習会で、なんと!ドイツのOuisburg-Essen大学耳鼻咽喉科のStephan Lang教授と久しぶりに会いました。
私の記憶では2012年のカナダのトロントの学会で会って以来の7年ぶりの再会でしょうか?
彼とは、Pittsburghの留学時代(今から20年以上前)に同じラボで働いた仲です。
Familyはどうしてる?とか、ボスのWhitesideに会うか?などなど、いろいろとお話ししました(写真通り、彼の身長は2mあります)。
休暇はどれくらい取っているのか?って話になり、1週間程度、教室の医師は14日くらいかなと言ったら、Unbelievableな表情、彼はなんと6週間休む(休める)そうです(ちなみに学会は含まず)。
それで、業務が廻るのか!?ってこっちも驚きです。
ちなみに彼のEar, Nose, and Throat Clinicには医師が30名で、80床の病棟を診ているとのこと、もちろん、外来もありです。
うちと医師一人当たりの担当病床数は同じくらいでしょう。なんだ、この違いは!って驚きました。医療システムの違いでしょうか?
教室の先生方には、こんな話は絶対言えないなって思った次第です。
一度、ドイツの彼のところに見学に行ってみたいところです。
さて、二日間の講習会が終わったところで、Dr. TranからDinnerを一緒にどうですか?と誘われ、近くのベトナム料理を食べに行きました。
毎日、マフィン(朝食)とサンドイッチ(昼食)とクッキー(おやつ)のワンパターンFoodだったので、アジアンフードはなんだかホッとしました。
Dr. Tranは、免疫療法の巨匠、Steven A. Rosenbergのところで細胞療法を勉強された先生で、講演もわかりやすく、以前養子免疫療法に関わっていた私も興味深く聞かせていただきました。
先生は、日本癌学会にも来られたことがあるとのことで、これから先またどこかでお会いできるのを楽しみにしております。
ご夫婦といろいろ楽しくお話しする中で、ビックリしたのが、アメリカではオプジーボ(Nivolumab)やキートルーダ(Pembrolizumab)といった免疫チェックポイント阻害剤がテレビのコマーシャルで流れているらしいです。
免疫関連有害事象は〇〇がXX%で、YYがZ%ってテロップが出るとのこと、なんだか「効いたよね、早目のパブロン」みたいなのりで、「効いたよね、早目のオプジーボ」とかの謳い文句なんでしょうか?
患者さんに免疫チェックポイント阻害剤についてのベネフィットとリスクの啓発にはなるなとは思いましたが・・・。
来年の5th New Horizons in Immunotherapy for Head and Neck Cancerは、11月にSan Diegoで開催とオープニングで言われていました。
Anyone wanna keep me company?
Part III. Post meeting
講習会も終了し、会場のホテルを翌日朝の7時に立ち、ポートランド国際空港へ向かった。
空港到着、チェックインして荷物を預け、保安検査とサクサク進む。
ポートランド空港はgood airportと昨日Dr.Tranから言われた通りだ。
イヌイットのおじさんが燦然と輝く、アラスカ航空の飛行機に乗って、次の目的地へ・・・。
To be continued・・・