耳鼻科8年目の萩原です。
今回は2023年3月9日~10日に京都で行われた第35回 日本喉頭科学会に参加してきました。
この喉頭科学会は私が初めての全国学会発表をした学会でもあります。
まだまだ右も左もわからぬまま会場に行き、質疑応答で活発すぎる議論がなされていたことに戦慄し、学会会場を飛び出して大阪の街へ心を落ち着けに行ったことを昨日のことのように思い出します。
でも今回は違います。関連病院で経験を重ね、日常診療でもちょっとやそっとでは動じなくなり、生意気にも一人前を装った意見を言えるようになりました。
だから大丈夫!そんな風に自分を鼓舞しながら血気盛んなlaryngolosistの世界へ飛び込んできました。
今回自分が発表した声門下狭窄の分野は他にも演題が多く、皆さん難渋されているようでした。口演でもCOVID-19罹患後の声門癒着症例が複数発表されており、COVIDと人類との戦いはまだ終わりの様相がみえないなと感じました。
また、パネルディスカッションでは教授クラスのパネリストの先生方が持ち寄った症例の打ち合わせなしの症例検討、という試みがなされていました。それぞれの先生が選んだ症例も、難しかったけどここまで俺は治してやったぜどうだ!というものから、私はこうしましたけど皆さんはどうしますか、と言わんばかりの症例まで、症例とその治療方針のプレゼンだけでも大変勉強になるものばかりでした。しかしながら司会の大御所からパネリストへ容赦ない質問が頻繁に飛び、喉頭疾患の診断と治療適応の検討の難しさを実感するとともに、やっぱり戦慄する学会だなぁと再認識しました。
私のポスター発表においても、低侵襲手術としてのビデオラリンゴに興味を持ってくださる先生に多く質問いただきました。再狭窄予防としてのTチューブはたしかに選択肢だけど、その管理が大変だよねー、という他施設の先生からの本音も聞けて参考になりました。また、ポスター発表に4月から当院にいらっしゃる東京医大の西川玲央先生にも来ていただきました。西川先生も本学会で口演発表されており、4月から一緒に働けることを楽しみにしています!
今回大学からは私だけの参加でしたので、ちゃっちゃとホテルに帰って日頃の疲れをとろうと考えていたのですが、ポスター発表中に京都府立医大の先生からお誘いをいただき、学会公式のディナーとその後に行われた喉頭若手の会に飛び入り参加してきました。
ディナーではホテルオークラのビュッフェをプロ声楽家の演奏を聞きながら楽しむというなんとも高貴な時間を過ごしました。その中で今回の会長を務められた平野滋教授の歌唱を聴くという機会をいただき、天は二物を与えず、という言葉は間違いなんだろうと思いました。そのような中感じたこととしては、プロの方の声は声量が違うのです。所謂ボイストレーニングでは良い発声に鼻腔共鳴を強調されていることが多いのですが、それをまざまざと感じさせられました。
その後の喉頭若手の会ではご高名な先生方と普段診療されている同年代の先生と情報交換ができて非常に有意義な時間でした。
各々が今どのようにキャリア形成をしているのか、これからの喉頭領域をどうやって盛り上げていくのか、といった真面目な話から、ご高名な先生の素顔やここでは書けないようなざっくばらんなプライベートな話まで、様々な話を日付が越えるまで楽しみました。
私もなかなかの人見知りで、知らない先生に話しかけたり、かけられたりといったことは苦手と思っており、このような会に参加したことはありませんでした。しかしながらこの機会は本当に貴重で、楽しい時間でした。これからの喉頭疾患診療へのモチベーションが得られ、今回誘っていただいた府立医大の先生方といろいろお話しいただいた他の先生には感謝しかありません。
来年も喉頭科学会が京都(次回は京大主催)で行われるようですので、また参加できるように発表の種を探していきたいと思います。冒頭では一人前を気取ったようなことを書いていますがまだまだ未熟者ですので、一つひとつできることを増やしていきたいなと思います。
京都の名物ではなく奈良のものではありますが、関西方面に行くときには必ず楽しみにしているものが「柿の葉寿司」です。
今回も堪能して帰宅の途につきました。
また、京都は日本の伝統文化の色濃く残る街として有名ですが、今回はわりと繁華街のあたりでした。
アーケードのある商店街に突如現れる寺社仏閣というなんともいえない雰囲気が最高でした。今回の会場近くにも本能寺があり、特別拝観が行われている看板がありました。中では織田信長が南蛮拵に造り替えたとされる日本刀「安綱」の展示が行われているようで、日本刀好きの血が騒ぎましたが時間がなく見学できなかったのが心残りです。
最後に、このような機会をくださった医局の先生方、医会の皆様に感謝申し上げます。