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お知らせ

Advanced circulating tumor cell 2023に参加して エーゲ海と神々の国、ギリシャから

はじめに

9月20-23日に開催されたAdvanced circulating tumor cell 2023(以下ACTC2023)に参加してきました。頭頸部癌における末梢血循環癌細胞(CTC)の研究も5年を過ぎて、これまで多田先生、井田先生のおかげでそれなりの結果は得られたと思っていますが、だんだん研究がいろいろな方面に拡がり、深化していくと、当然限界も感じるようになってきます。

この学会はCTCに特化した学会です。5年以上前にアメリカ癌学会に参加した際に、お誘いを受けたことでこの学会の存在を知っていましたが、いかんせん遠過ぎる!。ということで参加する気にはなれなかったのですが、最先端を知ること、新しいネタを求めて参加してきました(それだけ切羽詰まっているのかもしれませんし、他力本願と思われるかもしれませんが・・・)。

実は、出発1週前にコロナ陽性が判明して危うくキャンセルせざるを得ない状況でヒヤッとしました。

この学会はギリシャの離島で2年に1回開催されており、今回の会場は、ギリシャのスキアトス島です(毎回、島が違うようです)。おそらく誰もご存じないと思います。私もまず島の名前を覚えることから始めました。実際にアテネから先は、日本人を見ることがありませんでした。成田(前泊)→チューリッヒ(スイス)→アテネ(1泊)→スキアトス島と2日かけての移動でした。特にロシア上空を飛べないので、成田からチューリッヒまで北極圏経由で14時間です。またロストバゲージに備え、一泊分の着替えは機内に持ち込みました。今回は多田先生に教わった着圧ソックス、高橋先生に教わったネックピローと少しでも体の負担対策をして飛行機に乗り込みましたが、ホテルに到着した時はさすがに心身ともに疲れました。

やっとの思いで到着したスキアトス島には、「ビーチと時間がたっぷりありました!」。

 

宿泊先は必然的にリゾートホテルになります。毎日、プールサイドのテラス席からビーチ眺めながらの朝食は私にはオシャレ過ぎました。

学会

島内の移動は基本公共バスで、会場のスキアトスパレスホテルまで毎日バスで通っていました。会場は、眼下にコウコウナリスビーチが拡がる素敵なホテルでしたが、皆さん学会に集中です。

CTCという狭い研究領域ですが、ヨーロッパ中心に多くの研究者が集っておられました。こういう学会にありがちな時間を無視した討論が始まり、座長も時間通り終わる気がなく、結局プログラムがどんどん後ろ倒しになっていくパターンでした。

私も参加する以上は演題登録しようと「Circulating tumor cells in head and neck squamous cell carcinoma have different properties depending on the expression of targeted epithelial-related markers」を発表しました。今回はCTCと頭頸部癌や免疫療法とのPlenary Lecture Sessionもあり、大変勉強になりました。いろいろな着眼点(アイデア)があることに改めて驚きましたし、企業からのセッションもあり、機器や試薬などについて紹介兼ねて熱いプレゼンがされていました。

ご縁

日本人どころか、さすがに知り合いがいるわけも無い学会ですが、ランチを食べていたところ、「テーブルご一緒良いですか?」とお二人のジェントルマンが来られました。お互い自己紹介したところ、ドイツのUlm大学産婦人科の教授でProf.Wolfgang Janniとのこと。Ulm大学と言えば、7月にモントリオールであった友人のProf. Thomas Hoffmannと同じ大学です。

https://jibika.med.gunma-u.ac.jp/?p=4159

「ENT doctorのThomasって知ってますか?」って尋ねたら、「良く知っているよ」となって、彼にもCTCの研究を是非始めさせようということで 話が盛り上がりました。こんな出会いもあるのかと、びっくりしました。

観光

この時期のギリシャは日差しの下では暑いですが、木陰だと涼しく気持ちの良い気候でした。粋にストローハット買ってジョージ・クルーニーかピアース・ブロスナンを目指してみましたが、ダンディーとは程遠い単なる短足のおっさんでしたorz。

スキアトス島の市街地はおしゃれな街並みで多くの観光客で賑わっていました。

学会の合間に隣のスコペロス島まで船で足を延ばしました。こちらの島は「マンマ・ミーア!」の舞台になった島で、ABBAの曲がガンガンかかった船に乗って島のビーチを巡ってきました。さすがエーゲ海はきれいです。ギリシャ料理と美しいビーチに学会の疲れも癒されましたが、スコペロス島から戻っても、ずっと頭でABBAの曲が鳴っていました。Dancing queen~♪♬ってやつです。

ギリシャ料理

どこのお店行ってもギリシャ料理あるいはその類になってしまいます。比較的日本人の口に合う料理で美味しくいただきました。オリーブオイルとフェタチーズがこれでもか!と出てきて、さすがに終盤は少々飽きてしまいましたが、ヨーグルトと蜂蜜は最高でした。

右上から時計回りにタコのグリル、ギリシャサラダ、スブラキ、カラマリ、ギュロスです。

ここでもため息の円安

7月のモントリオールでも実感しましたが、今回は1ユーロ≒160円ちょいでした。やっぱり物価高いです。支払いの度に日本円で○○円かあ・・・ってなります。今後円高になって、かつ給料も上がってという未来が来るのでしょうか?トホホです。

以上、いろいろ書きましたが、私にとってはCTCについて新たな取り組みを始めてみようと思わせてくれる学会で、早速帰国してから試薬を注文しました。

次のACTCは、2年後にギリシャのどこかの島で開催されると思います。エーゲ海の美しいビーチとゆったりとした時間で命の洗濯をしたい方は是非どうぞ。今から始めれば十分射程距離の学会です。

最後に

自分の欲しい情報は、ネットを通じてすぐに得ることができますし、論文もすぐに読める時代になりましたが、それでも学会参加を通じて、仕事をまとめることは論理的思考のトレーニングになりますし、現地で最新の情報を得たり、思いがけないことが縁でネットワークができたりと、得るものがたくさんあります。また思いがけず貴重な経験ができることもあるでしょう。教室の先生方もどんどん外に向かって当科をアピールしていって欲しいです。

コロナに罹患してからACTC20232週以上病院不在の状態となり、教室の先生方には大変ご迷惑をおかけしました。また、学会参加に対していつもご支援いただいております地方部会及び同門会の諸先生方に感謝申し上げます。

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