HOME > お知らせ > 新着情報 > 学会報告 > AACR2024 学会参加記

お知らせ

AACR2024 学会参加記

新年度が始まり、病院スタッフの顔触れも一部変わり、また新しい先生も加わってフレッシュな気持ちで仕事が始まりました。そんななか早速4月4日から10日までアメリカのサンディエゴで開催されたアメリカ癌学会(AACR)2024に参加してきました。今回はいつもご一緒の多田先生が4月11日からの免疫アレルギー感染症学会の準備のため参加できず、一人旅でした。また現在非常勤研究員をしてくれている高橋秀行先生が、別便での参加です。今回のフライトは往復路とも深夜便をチョイス(単にもたもたしていたら、席がなくなってしまったことと、円安のこの時代少しでも安く行くため)しました。羽田→ロサンゼルス→サンディエゴの旅程で、ロサンゼルスからサンディエゴは車利用の予定です。

4月4日午後までかかった出張病院の業務を終了、自宅に戻り大学の業務メールに対応していると、手配を頼んだ旅行会社から一通のメールが。

開けてみると・・・

羽田―ロサンゼルスのフライトは4月5日0時30分発、4月4日(一日戻る、ここがとても重要!)18時45分着なので、4日の車手配、宿泊予約なのが、5日の手配になっていたとのこと。実際にバウチャー見ると、おっしゃる通り5日になっているではありませんか?どうやってサンディエゴ行けばいいの?家なき子ならぬ、宿無し子か?と一瞬冷や汗出ましたが、先方が気づいてくれて、4日に直してくれたようです。私も確認しておりませんでしたが、深夜便だとこんなことも起こるのか!?と、勉強になりました。

これは運が良いのか?悪いのか?よくわかりませんが、10時間のフライトと2時間半のドライブで無事にサンディエゴに到着しました。

コロナ禍以外は、毎年参加しているこの学会、今回はEducational sessionに出て基礎からしっかり勉強し直そうと思いましたが、なんのなんのしっかり最新の話題がてんこ盛りで、なかなかに手強かったです。しかも時差ボケでなんど気を失ったか?わかりません。

研究に関して感じたことは、やはりまだまだImmunology関連が多いです。手法としてはシングルセル、あるいは空間的プロファイリングが盛んに行われています。ここでもお金がかかっているなあと感じました。どのポスターにもカラフルなUMAP、t-SNEやHeatmapが貼り付けられ、枯れ木も山の賑わいというと叱られそうですが、時代の変遷を感じます。

一方、数年前までは盛んだったLiquid biopsyもctDNAがminimal residual diseaseや疾患のbiomarkerとしての研究が行われていますが、以前の勢いがなくなった印象です。Circulating tumor cellに至っては更に勢いの低下を感じました。

研究領域に栄枯盛衰があるのは仕方ないですが、ちょっと寂寥感を感じました。臨床以上に進歩が速い研究領域ですので、どのような手法が新しく出てきて、自分たちではどれが可能なのか、どれを使えば目的のことが効率よくやれるのか?臨床以上についていくのが大変です。

さて、前置きが長くなりました。(えっ?ここまでイントロだったの?と驚かれた方、もう少しお付き合いください)。今回は4つのEでまとめてみました。

EAT編

さて、サンディエゴに行ったときは、必ず立ち寄っているRichard Walker’s Pancake House。金曜日の11時に訪問したら長蛇の列に断念。翌日5時半起きの6時半開店前に到着、無事いただきました。本当はBaked Apple Pancakeといきたいところなんですが、一人ではかなりきついということで、Fresh Strawberry Pancake(シロップ増し増し)を注文、こちらでも十分お腹にというか脳にきました。血糖値と空腹感の競争です。一気に食べないと後半がつらくなってきます。重い口当たりのホイップバターの塩気を口直しに、なんとか平らげ、血糖値爆上がり状態でそのまま学会へ向かいました。

もう一つは、AACR恒例行事となりつつある、京都府立医大の先生方とSteak Dinnerです。辻川先生、木村先生、高橋先生と4名での久しぶりのステーキに舌鼓を打ちました。昨年の多田先生から高橋先生にメンバーチェンジとなりましたが、辻川先生と高橋先生はこんな美味しい状況でも研究の話に花が咲いており、研究者あるあるの英語と日本語と外来語の混じった言語を駆使されるので、いまいちわからず、おかげで私はステーキに集中できました。来年のAACRはChicagoですので、是非Michael Jordan’s Steak Houseに行きたいです。

ECONOMY編

相変わらずの円安、何か買ったり食べたりするたびについつい日本円に換算して溜息を繰り返すのはお金とともに幸せも逃げていきます。途中から円換算をしないようにしました。行きの車内でドライバーの方が、円安だけでなく、アメリカの物価上昇はやはり凄く、給料の上昇を超えているようなお話しをされていました。こんなエコノミー状況なので、「世界のどこから来ましたか?」マップ(地図上に自分の地域をピン止めする)を見ると日本は韓国、台湾よりも少なそうです。

これから日本はどうなっていくのでしょうか?誰に相談したら良いのでしょうかね??

また、企業展示も実験試薬、機器に加えて、外資系メガファーマの規模が半端ないです。分子標的薬や抗体薬は研究領域ともろに繋がりますし、年々占めるスペースが大きくなってる感を感じました。参加者にチョコレートやカプチーノの大盤振る舞いに加え、relaxing spaceまで提供しているのは、こちらも時代の流れを感じます。

更に、様々な出版社のブースもたくさん出るようになったと感じました。投稿した論文を誰でも読めるオープンアクセスジャーナルとして出版する際はarticle processing charge(APC)がかかります。オープンアクセスジャーナルにすると、より多くの方が読んで引用してくれることになるので、著者も出版社もwin winになる?のかな??次はうちの雑誌に投稿してくれ的なメールもしばしば送られてきます。平均2500-3000ドルくらいでしょうか?自分の書いた論文が世に出るのに40万円くらい支払うって信じれますか?多くの先生は、臨床の合間に他人の論文読んで、図表作って、頭絞って書き上げ、教授にメタメタに赤ペン入れられ、やっと投稿、査読(ここが一番大変な作業)を経て、アクセプト勝ち取ったところで、40万支払ってくださいって言われたら、なんか微妙な気持ちですよね。でも世の中そうなっているのです。最近はAPCがいくら?ってのも投稿先を考える重要なファクターの一つとなっております。そしてここでも円安が影響を及ぼすのです。

 

EN(ご縁)編

今回、ご縁を感じた出会いを紹介させていただきます。

2019年8月(5年前)オレゴンの研究会でご一緒したDr. Eric Tranの奥様、山崎先生とお会いしました。実は昨年7月にモントリオールでたまたまご主人とお会いしたのですが、今回は、奥様(山崎先生)と再会しました。たまたまポスター観ていたら、隣のポスターを観られていた山崎先生が気づいて声かけていただきました。懐かしいですねって、お互いの近況で話が盛り上がりました。

https://jibika.med.gunma-u.ac.jp/?p=2954

https://jibika.med.gunma-u.ac.jp/?p=4159

また、その後会場をまわっていると、こちらは9年ぶりのフィラデルフィアのTerai Mizue先生にお会いしました。2015年にフィラデルフィアでAACRがあった際にお会いして研究領域が同じということと、ご出身が足利市ということで知り合いになった先生です。その後2018年のAACR@Chicagoでもお会いした経緯があります。こちらもついつい時間を忘れていろいろお話できました。

ここまで読まれて、そりゃあ学会に行けば、同じ学会場だから会うでしょ?って思われるかもしれませんが、この学会の規模からするとかなりのもんなんです。

世界は広いけど、世間は狭いなと感じたとともに、やっぱり人と人の縁ってあるんだなと改めて感じました。

Equality (Gender equality)編

AACRに毎回参加して思うことは、女性の占める比率の高さです。おそらく半々だと思います。この学会に来るとがん研究分野で活躍している女性の多さに圧倒されます。私の留学時代のボスも高橋先生のボスも、そう言えば辻川先生のボスも、み~んな女性でした。さらにAACRのPresidentもNCIの新しいDirectorも女性です。日本もいろんな分野で女性の割合を上げなきゃいけないって言ってますが、なんか違うんですよね・・・。そういう土壌を作るのが私の責任なんでしょうけど、日本はまだまだ時間がかかりそうですね。今回、山崎先生、Terai先生というアメリカで頑張っておられる女性二人にお会いしてなおさらそう思いました。

締めは、高橋先生の発表です。ポスター発表で写真をパチリ、ちなみに私はパーカー&ジャージ姿で写っていますが決してこのような格好で学会場を徘徊しているわけではありません。その日の夜の便で帰国だったからです。教室の先生に、教授ふざけ過ぎだろ!って思われるのは心外ですので、きちんと説明させていただきます。ただこの格好でも学会場では浮いていないのがアメリカなのかもしれません。

ということで、サンディエゴ→ロサンゼルス→羽田と飛行機を乗り継ぎ帰途に着きました。ロサンゼルス空港の乗り継ぎ時間はジャスト3時間だったのですが、サンディエゴからの出発が搭乗して機内で待たされること1時間、機内で5年前の悪夢がフラッシュバックして、過呼吸になりかけました。

4th New Horizons in Immunotherapy for Head and Neck Cancer 番外編

以上、AACR2024の学会報告記でした。久しぶりの担当だったので長文になりましたが、上記のような経済状況のなかいつもご支援いただける地方部会・同門会の先生方には深く感謝申し上げます。学会の成果を少しでも教室の利益に還元できるようにしたいと思います。

トップへ戻る